ひといちばん敏感な子の育て方
「他の子と違うと言われたことはありませんか?」
その子の敏感さを知ることは子育てでとても大切です。
まず、みなさんHSPという言葉を聞いたことはありますか?
HSPとはHighly Sensitive Personの略で「人一番敏感な人」のことを指します。「人一倍敏感」とはどのようなことか説明すると周りの反応によく気がつき、深く考えて行動をする、創造豊かな傾向をさす人のことです。このように説明すると良い風に聞こえますが一方で、多くの刺激や情報に圧倒されやすく刺激を避けようとして「臆病、引っ込み思案、周りと溶け込めない」と思われます。
HSC=ひといちばん敏感な子とは?
この「人一倍敏感」であることは子どもの場合にも当てはまり、その傾向を持った子ども達のことをHSC(Highly Sensitive Children)と呼びます。実際、全体の子ども達の5人に1人はHSCの傾向があるとされており、聞き慣れない言葉からか養育者がこの傾向を理解していないまま子育てしている場合が多いです。
以下のチェックリストを参考に「はい」か「いいえ」チェックしてください。13個以上「はい」であればHSCでしょう。
1すぐにびっくりする
2服の布地がチクチクしたりして嫌がる
3驚かされるのは苦手
4しつけは強い罰より優しい注意の方が効果的
5親の心を読む
6年齢の割に難しい言葉を使う
7いつも違う匂いに気づく
8ユーモアのセンスがある
9直観力が優れている
10興奮した後なかなか寝付けない
11大きな変化にうまく適応できない
12たくさん質問する
13服が濡れたり、砂がついたりすると着替えたがる
14完璧主義である
15誰かが辛い思いをしていることに気づく
16静かに遊ぶのを好む
17考えさせられる深い質問をする
18痛みに敏感である
19うるさい場所を嫌がる
20細かいことに気づく
21石橋を叩いて渡る
22人前で発表するときには知っている人だけの方がうまくいく
23物事を深く考える
・敏感でも臆病になるかは育ち方しだい
HSCの子ども達の長所を挙げることは容易ですが、実際他の子ども達より目立ち、手のかかる現状があり、長所ばかり目を向けても仕方ありません。ある研究ではHSCは他の子と比較して親の接し方の影響を受けやすいという結果があり、わが子がHSCという傾向を理解して子育てすることが大切だと考えられます。
・HSCの特徴とその支援
では具体的にHSCの6つの特徴とそれぞれに合わせた支援が説明します。
①細かいところに気づく
・困った面として挙げていくと「りんごの皮が付いているよ。僕が皮が嫌いだってしっているでしょ」といった細かい文句を言うことがあります。
→「言うことを聞くのはここまで」というラインを設定する!
・例えば、靴ひもの結び方にこだわっている子がいたとすると5回結び直した段階で話し合ってみることをお勧めします。それ以上子どもに付き合うと親も子ども疲れるだけです。
②刺激をうけやすい
・繰り返し言いますがHSCは大量の情報に圧倒されます。例えば、人が多い場所では人と話せなくなったり、落ち着いて行動ができなくなったりします。
→競争よりも楽しめる環境を作りましょう!
・車の中で一緒に歌う、家族の前で劇をするなど合唱団や劇団の試験を受けなくても楽しむ環境は作れます。才能がありそうならまずは楽しむことから始めましょう。
③強い感情に揺さぶられる
・大きな喜びや幸せを感じやすい一方でつらさ、苦しさも大きく感じてしまいます。さらに、感情を外に表出するのが難しいため心の中に溜め込んだまま葛藤やストレスとして感じます
→ネガティブな感情を吐き出させ、受け入れる!
・できれば静かな場所で、子どもにネガティブな感情を吐き出させ、その間、遮らないで静かに受け止めましょう。
④他人の気持ちにとても敏感
・HSCは当人(親、養育者)でさえ気づいていない他人の気持ちに気づいてしまうということがあります。例えば、親が恥をかきたくないと思い「全然気にしていない」と言ってもちょっとした表情から本当の気持ちが分かってしまうのです。
→断る権利があることを教えましょう!
・HSCは他人の気持ちがわかってしまい、他人のために自分の行動を控えるケースも少なくありません。他人の意見を聞き流す権利があることを教えましょう。
⑤石橋を叩き過ぎる
・敏感な子は慣れた光景でさえ何か新しいことに気づきます。例えば、朝いつも通りのキッチンでもHSCは「コートがないからお父さんは出かけたんだな」と。慣れた光景で敏感ですから全くの新しい状況ではかなりの処理が必要になり、精神的負担が大きなものになるでしょう。
→新しいことの中にも、安心できる部分を教えてあげる!
・初めてでない点、すでに克服した過去のことと似ている点を見つけそのことを教えてあげましょう。例えば、「海は大きなお風呂だと思えばいい。お風呂の中で手を動かすとお湯が動くでしょう?」といったように。
⑥良くも悪くも注目されやすい
・HSCは細かいことを気にする子だ、確認しないと前に進めない、終わった後にかれこれ考えるなど他の子より目立ってしまう可能性が大きいです。このようなマイナスのレッテルを貼られたまま周囲が接するとその子が大人になった場合、自己肯定感が低いまま育ってしまいます。
→他の子と違った点、特に長所を伝えましょう!
・問題点だけでなく良い点を子どもに話しましょう。親の中には他の子と違う点を話すのが怖いという人もいます。まずは子どもの敏感さを受け入れた上で長所を褒めることがその子の自己肯定感を育むのではないかと思います。
以上、HSCの説明と支援について説明しました!自分自身HSPの傾向があるので子どもの頃も敏感な子だったのかなとこの記事を書きながら考えていました。親子ともに敏感である場合や親が敏感でない場合の子育ての仕方など機会があれば書かせてもらいたいなと思います。