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母と子を救えるのは父親?〜周産期の心理学的観点から〜

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周産期(妊娠をしてから生まれるまで)の母親に対する心理的ケアって子どもの発達にすごく大切な影響を与えるってご存知でしょうか?

 

今回、周産期の心理学について考えていきたいと思います。

まず周産期とは母親にとって妊娠期・出産・産褥期、子供にとって胎児期・出生・新生児期のことを指します。期間でいうと妊娠22週目~出産後1ヶ月のことです。

⑴周産期は出会いの時

周産期では赤ちゃんは親を始めとする世界と出会い、活発な相互交流を行う中で「こころ」の土台を作っていきます。同時にお母さんも赤ちゃんを通して「親になる」存在として育っていきます。

 

⑵周産期における関係の危険

周産期は子どもと親が出会い、両者が新しい関係を育てると述べましたが同時に関係が崩壊する可能性が高い時期だといえます。例えば、出産直後から1週間までに見られるマタニティブルーズや、産後一定期間後から数ヶ月に及ぶ産後うつ病などの精神障害が発症することがあります。このような時期に適切な出会いの準備が守られていない場合、親と子にとって関係性の危機が生じるかもしれません。

 

⑶母親が産後うつにかかった場合

もし母親が産後うつに発症した場合、子どもにどのような影響を与えるのでしょうか?例えば、お母さんは我が子に対して「赤ちゃんが可愛くない」など訴えたりすることがあります。このように子どもに対する否定的な感情の増加や言葉かけや刺激の減少が考えられ、それは母子間の愛着形成の阻害につながります。

 

⑷お母さんの言葉を一つ一つ丁寧に聞いていく

では母と子の出会いが十分に守られる支援とはどのようなものがあるのでしょうか?まず、一番大事なことは母親の言葉を表面的にのみ受け取るのではなく感情的な部分も十分に汲み取って聞くことだと思います。例えば、「わが子に実感がない」と親が訴えたりしてもその言葉を人格的に問題のある親であったり、未熟な親だと判断を下してしまうのは間違いです。周産期の母親はうつ病かかりやすい事実に加え、子どもが無事に生まれるのかといった不安が多く、このことを理解することが大切ですね。

 

⑸「父親」という存在

子どもの支援となると父親の存在をすごく重要になってくると個人的に思います。子どもが生まれる瞬間においても親になるのは母親だけではなく父親も同じです。赤ちゃんは父親を通じて外の社会を理解して、父親も赤ちゃんを通じて「育てる親」としての役割を理解するわけです。また、母親が不安な思いを抱えている時にその思いを汲み取ってあげられるのは一番の理解者である父親だと思います。周産期では父親が母親と子どもを支え、それが子どもと母親の関係を築いていくのです。

 

 

以上、周産期における心理学ケアの基本を説明しました。今まで子育て支援となると母親と子どもに焦点を当てられることが多く、それだけでは不十分だと考えています。父親に関しても母親、子どもを支える存在であるので子育てというと家族全体を指して考えることが大事なのかもしれませんね。

 

参考

https://www.amazon.co.jp/NICUとこころのケア-第2版―家族のこころによりそって-橋本-洋子/